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<テーマ063>契約としての予約

<テーマ63> 契約としての予約  

 

 予約を取るということは、一つの契約が成立したということであります。契約と言うと、堅苦しいイメージを持たれるかもしれませんが、これは事実であります。 

 これをお読みになっているあなたが私のカウンセリングの予約を取るとします。私がそれを受けるとします。その時、私とあなたとの間で一つの契約が成立したのであります。予約した日時に、あなたは私を訪れる義務が生じます。義務が生じるという点では私の方でも同じであります。私はあなたとお会いするための準備をしなければならず、時間と場所を確保しなければならないのです。私もまた義務に縛られるのであります。双方がそういう形で束縛されてしまうのですが、それないと何事も始められないのであります。 

 

 契約が成立した場合、この契約は次の三つのいずれかの経緯を経なくてはなりません。 

その三つとは、(1)契約が遂行される。(2)契約が事前に変更される。(3)契約が事前に取り消される(キャンセルされる)であります。つまり、あなたには無断キャンセルする自由はないのであります。予約を取っておいて、それをすっぽかす自由はあなたにはないのであります。厳しいことを言うようですが、それは私の方でも同じであります。私もまた無断キャンセルすることはできないのであります。 

 

 私が偉そうに言っているように聞こえるかもしれませんが、私は一度だけ無断キャンセルしたことがあります。それは私の足の怪我のために病院に行った時のことですが、それが予想以上に時間がかかってしまったためでした。午前中で片が付くだろうと私は予想していたのですが、結局午後遅くまでかかってしまったために、午後からのクライアントに対して無断キャンセルしてしまったのでした。私は自分を弁護するつもりはありません。私は午後からのクライアントに対しても変更をお願いしておかなければならなかったのでした。午後の人には間に合うだろうと甘い予測をしていたのは私自身だからです。私が義務を怠ったのであります。 

 私も約束を守る義務があるのと同じように、クライアントもまた私との間で成立した約束に関しては、それを守る義務が生じるのであります。そして、契約を交わした当事者間において、その契約は先述の三つのどれかを経なければならないということであります。 

 

 カウンセリングもそうですが、予約制で仕事をしている職種においては、無断キャンセルというのはどうしても生じるだろうと思います。 

 以前、私が勤めていたクリニックでも、それはよく生じました。私の経験では、無断キャンセルはクリニックの方でよく生じていたように思います。私が独立して思ったのは、クライアントは意外と約束を守ってくれるものだということであります。 

 今でも覚えているのですが、当時、クリニックの臨床家、私にとっては上司に当たる先生ですが、この先生がある時、一人のクライアントを待っていました。時間が来ても、そのクライアントは姿を現しません。遅れるのだろうか、など私たちは心配になります。いくら待っても、遂にそのクライアントは現れませんでした。その先生はプンスカ怒って、「まったく、人の時間を何だと思っているのだ」と毒づいていました。気持ちは分からないではありません。臨床家もまたクライアントと会うために準備をしていたのであります。その準備が無駄に終わったわけでありますし、姿を現さなかったクライアントのために、他のクライアントがその時間に入れなかったということもあり得たからであります。 

 今、私は多少の経験を積んでいるおかげで、クライアントが予約を取る時に、ある程度、この人は来てくれるなとか、この人は来ないか直前でキャンセルされるなとかいうことが予測できるようになっています。これは、クライアントの表現、ある事柄に対しての表現に注目することで予測できるのであります。大体、私の予測は八割くらいの確立で当たるのであります。 

 ですから、来談する可能性が低くても、一応、私はその人のために準備をして、待つことにしています。それでも15分以上は待たないということに決めているのであります。15分経ってもその人が現れなかったり、何の連絡もなかったりすると、私はその人とは縁がなかったのだと思い、その人のことは忘れることにしています。そして、私は私の仕事に戻ることにしているのであります。15分の損失が私にもたらされただけであり、それ以上に、その人によって掻き回されるのを防ぐようにしております。私がキャンセル料を取らないのはそのためなのであります。私は私の被害を最小限に抑えるようにしておりますので、無断キャンセルされても、わずか15分の損失と若干の準備の損失だけで済んでいるのであります。キャンセル料を請求するほどの被害を生み出さないようにしているのであります。 

 それでも一時期、無断キャンセルの場合、キャンセル料を請求しようかと考えたこともあります。しかし、請求したところで、その人は払わずに逃げる可能性が高いだろうと思います。そうなると、結局、その人に対して、いつまでも追いかけなければならないようになると思うのです。それはそれで、仮にキャンセル料が徴収できたとしても、私にとっては損失なのであります。それに借金取りのようなことも私はしたくないのであります。 

 それに、損失は私の側だけにあるのでしょうか。無断キャンセルしたその人もまた損失を蒙っているかもしれないのであります。その人はカウンセリングにおいて何か有益なことが得られたかもしれないのであります。その機会をその人は失したということになるのかもしれません。また、後日カウンセリングを受けたくなったとしても、一度無断キャンセルした所に対しては気が引けるのではないかと思います。それもまた、クライアントにとっては可能性が狭められてしまうことになるのではないかと私は思います。もしかすると、無断キャンセルの損失は、私の方よりも、キャンセルした人の方が大きいのかもしれません。 

 

 私が厳しいことを言っているように聞こえるかもしれません。私の職場は待合室もない、一室だけなのであります。クライアントを待たせたくないし、クライアントどうしが廊下で擦れ違わないようにも配慮したいのであります(但し、これは生じてしまうこともあります)。そのため、一人のクライアントの面接時間は60分ですが、私は一人のクライアントに90分時間を取るようにしているのです。その上、以前も少し述べたかもしれませんが、急なクライアントや用事、作業のために、一日のうちのどこか一枠は必ず空けるようにしているのです。そうすると、私は一日に五人のクライアントと会うのが限界になってしまうのであります。一日に五枠しかないので、一つ一つの枠が私にとって大きいのであります。だから、本心を言うと、確実に来てくれるクライアントとだけ会うようにしたいのであります。一枠一枠が私にとって貴重なのであります。そういう事情があるので、少々厳しいことを述べることになったのであります。 

 簡潔に申しますと、予約を取るというのは、契約であり、あなたは私の一日の労力の五分の一を押さえることになるのであります。あまり軽い気持ちで予約を取ってほしくないというのが私の本心であります。そして、予約に関しては、遂行されるか、事前に変更ないしはキャンセルされるかのどれかを経なければならないのであります。そのどれがなされるのかということは、あなたの責任においてなされなければならないのであります。 

 

 精神的に圧倒されていたり、人格的に未熟だったり、社会化が十分達成されていないといった人にとって、こうした約束を守るということがとても難しいということは私にも理解できるのであります。その人たちは、約束が負担となったり、あるいは相手の方にも事情があるとは思いもつかなかったり、嫌なことはすっぽかしてもかまわないと考えたり、気分しだいで変えても平気だったり、他人が迷惑を被るとは思いもしなかったりするのであります。しかし、そのような人こそ、約束を守るということができるようになっていかなければならないのではないでしょうか。 

 ある人が予約を取られました。日時まできちんと押さえたのであります。その上で、その人は「行くかどうか当日決めてもいいですか」とおっしゃられました。私は「それなら最初から来ないでください」と言って、断りました。予約を取ったということは、それ自体で、カウンセリングを受けるという決断をしたことの意思表示なのであります。予約を取ってから意志決断するのではないのであります。 

 

(文責:寺戸順司高槻カウンセリングセンター代表カウンセラー