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<テーマ083>抑うつ前駆症状(4)

<テーマ83> 「抑うつ前駆症状」(4) 

 

 冬になると風邪をひかれる方も多いかと思います。私たちは風の「初期症状」をそれなりに把握できるのではないかと思います。「ちょっと風邪気味だ」ということが自分でも分かるかと思います。そして早めに対策を立てられるのではないでしょうか。結果的に風邪で寝込んだとしても、放置していたら一週間は寝込んでいたかもしれないような風邪が、三日寝込んだだけで回復したのだとすれば、その処置は十分成功したものとみなしてよろしいかと思います。予防という観点からしても、それは十分意味があることだと私はみなしております。 

 風邪の場合、その「初期症状」と「本症状」とは直線的につながるものが多いと思います。「うつ病」においては、それが直線的につながらないことが多いので、その「前駆症状」が見過ごされやすいのではないかと思います。しかし、本項で挙げる「集中困難」という「抑うつ前駆症状」は、比較的、「本症状」と結びつきやすいものではないかと思います。 

 

前回までと同様、まずウェイナーの記述から始めましょう 

『集中困難は障害をもった青年における抑うつ代理症として特に重要なものである。というのは、それが若者が援助を求める主要なあるいは唯一の症状であるということが多いからである。集中困難はしばしば学業不振と関連して記載される。たとえば青年はどんなに勤勉であっても、またどんなに長時間学習したとしても、まさに情報を吸収しあるいは記憶することができないことだけがよく訴えられる。うつ病の成人ではこのような集中困難は一般的な無気力あるは心身違和感へのとらわれにおいて普通みられる。しかし、青年前期のうつ病者は集中の問題性を理解できず、潜在性うつ病はただ集中困難の事実からのみ推測されるのである。』 

 

 前項の「疲労感」と「身体的訴え」が成人の「うつ病治療」の入り口であるとすれば、「集中困難」は青年期の「うつ病治療」の入り口になるということをウェイナーは述べています。なるほどと私も頷ける思いがします。しかし、このような「集中困難」は成人の「うつ病」においてもよく訴えられる事柄であります。 

 この「集中困難」の特徴は、ただ注意が集中できないとか、持続しないとか、注意が散漫になるということにあるのではなくて、新しいことを吸収したり記憶することが困難であるという点にあるかと思います。 

 転職を機に「うつ病」に陥ったある男性は、新しい職場の規則や同僚、雰囲気にどうしても馴染めずにいました。この馴染めずにいたという感覚は、新規の事柄を吸収し記憶することの困難さを意味していたのではなかったかと私は受け止めました。例えば、もちろん大勢の人の顔と名前を一度に覚えるということはどの人にとっても困難な作業でありますが、毎日顔を合わせる人、隣や向かいの席に座っている同僚の名前さえ、何日かかっても覚えることができなかったと彼は語りました。同僚と会話する時、彼は自分が彼らの名前を覚えていないということが悟られないように振る舞わなければならなかったと語りました。このような体験をされた時、彼は「記憶力が落ちた」と初めのうちは考えておられました。このように考えてしまうことは、ごく一般的なものだと思います。そして、それが「うつ病」かもしれないという可能性に至らないのが通常よく観察されるパターンではないかと私は思います。 

 

 ウェイナーによると、青年期においては、この「集中困難」が学業不振に結びつき、それを契機に青年は援助を求めることになるということであります。しかしながら、成人の場合においても、それは「業績不振」として生じ、それが援助の契機となることもよく起きることであります。 

 一つ注意しておかなければならないことは、ここで述べているのは主に次のような場合のことであります。それはこの「業績不振」は、それまで業績を上げていた人が急激に業績を上げることができなくなったという形を取るということであります。変な表現かと思いますが、もともと「業績不振」だという人の場合は、もっと別の問題を抱えていると見る方が適切であります。なぜそのように考えているかと申しますと、「うつ病」を体験している人の「上昇と下降」が、成績や業績に反映されているためであると私は見ているからであります。従って、成績や業績の急な落ち込みは、その人自身の急激な落ち込みのサインのようなものかもしれないと私は思うのであります。 

 これはある意味で当然なのかもしれないのですが、「うつ病」に陥る前に、このような業績不振に落ち込んだ経験があると述べた人は男性がほとんどでした。「うつ病」と診断された女性で、尚且つ会社勤めをされている場合においては、業績の低下ということよりも、別の点でこういうことが見られる例が多いように私は思います。例えば、先述の男性のように同僚の名前がどうしても覚えられないとか、新しい機器の操作や名称が覚えられないとか、女性の場合、そうした部分で「集中困難」さが現れているという印象を私は受けています。 

会社の中でのちょっとしたルール変更に困難を覚えた女性クライアントもいました。書類の置き場所が引き出しから棚に変わるといった程度の変更でさえ、彼女は覚えるのが困難だったのであります。それは周囲の人からすると、「ミスが多くなった」というように見えるかと思います。男性は「業績低下」という形で、女性は「ミスが多くなった」という形で、「うつ前駆症状」の「集中困難」が現れることが多いように私は思います。もちろん、この区別は絶対的なものではありませんので、相対的にそのような傾向がよく見られるようであるということであります。 

 

(文責:寺戸順司高槻カウンセリングセンター代表カウンセラー