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<テーマ098>離婚を子供に伝えるべきか

<テーマ98> 離婚を子供に伝えるべきか 

 

 子供がいる夫婦の場合、離婚することが決まった時、離婚の事実をどのようにして子供に伝えるかということで悩まれるケースもあります。これはとても重要な問題でありますので、親としては悩むのが当然であります。 

 まず、このような問題を相談に来られた方の事例を掲げます。 

 面接には夫婦でお見えになられました。二人は近いうちに正式に離婚するということが決まっていました。その意志は覆せないということでありました。問題は離婚の事実をどのようにして子供に伝えるかということでした。それを私に相談に来たのであります。 

 この夫婦には二人の子供がいて、上の子は小学校に通う年頃だったのですが、下の子はまだ幼稚園児だということでした。この二人に離婚の事実を打ち明けなければならないのであります。 

 彼らは自分たちの離婚のことを子供はまだ知らないものと、無邪気に信じておられたようでした。この夫婦のように、子供たちは離婚の事実を知らないと思い込んでいる親は意外と多いかもしれません。 

 しかしながら、多くの子供は親が離婚の事実を伝える以前にそれを察知しているものであります。もちろん、離婚ということがどういうことであるかということは子供にはわからなくても、子供は両親の間でただならぬことが起きているということを感じ取っているものであります。 

 子供はそれを察知しても、言葉ではそのことを表現しないでしょう。その代り、子供にとっては世界(それは両親の間にある世界であり、両親と自分とを含めた世界であります)が変わったかのように体験され、感情的に不安定になったり、問題行動を起こしたりして、それを表現するものであります。そのような形で表現されているということは、子供が既に父親と母親との間に生じている緊張感を感じ取っているということの証拠であるのではないかと私は捉えております。 

 とにかく、子供というのは、親が思っている以上に親のことをよく見ているものでありまして、両親の間で起きていることを、たとえ大人のようには理解はできなくても、それとなく感じ取っているものだと思って間違いないことであります。 

 さて、この離婚が決定している夫婦ですが、離婚を伝えることがどうして難しいのかと言いますと、それが子供を傷つけるのではないかということを心配されていたからでありました。この夫婦には言わなかったことでありますが、離婚の事実を伝えて、その時初めて子供が傷つくというように理解するのは間違いであります。そのように理解してしまうのは、自分たちはまだ子供を傷つけていないのだということを信じたいからなのだろうと思います。しかし、夫婦の間に、ただならぬ緊張感が生じている時点で、子供はすでに傷つきを体験しているものではないかと私は思います。 

既に傷ついているといえ、現実に親が離婚をすると、確かに子供は傷つくかもしれませんが、子供はそれを克服する可能性を秘めているのでありまして、私たち大人はそういう子供の強さを信じなければならないとも私は考えております。ただ、子供を傷つけたくないというのであれば、夫婦がきちんと夫婦関係を築いていればいいと私は捉えております。繰り返しますが、夫婦の間で離婚の影がちらつくようになった時点で、子供はすでに傷ついていると考えなければならないと私は思います。 

 もし、子供を傷つけるのが嫌だったら、離婚しなければいいではないかということになります。しかし、不仲な両親の下では、やはり子供は傷つくようなことを繰り返し体験してしまうものではないでしょうか。子供が同じように傷つくのであれば、そして子供を傷つけたくないのであれば、より傷が小さいほうを選択する必要があると私は考えるのであります。どちらを選択しても子供が傷つくというのであれば、より傷の小さい方を選択するというのは、せめてもの親心ではないかと私は考えております。私はそのように考えておりますので、離婚する方がより傷が小さいと判断した夫婦の場合、離婚を選択することが望ましいということになります。ただ、それは個々の夫婦に任されている事柄でありますので、何が正しいかということは私にはわからないのであります。 

 

 この夫婦の例に戻ります。彼らにはもう一つの問題がありました。彼らが言うには、上の子供は離婚を伝えて理解できるだろうと思われるが、下の子はまず理解できないだろうとおっしゃるのであります。それは下の子はまだ離婚ということが理解できる年齢に達していないからだと言うのであります。 

 そこでこの夫婦は、上の子には伝えて、下の子には伝えないでおこうと考えておられたのでした。これを聞いた時、私は滅多にしないことをしたのであります。それは、彼らの考え方は間違っているということを指摘したのであります。 

 上の子に伝えたことは、下の子にも同じように伝えるべきだと私は主張したのであります。たとえ下の子が今の段階では理解できないとしても、上の子にだけ伝えて下の子には伝えないということはしてはいけないのであります。兄弟に同じように伝えなければならないのであります。その根拠というのは、下の子も家族の一員であるからであります。それだけの理由であります。まだ理解できないからと言って、下の子を家族から除外してしまうことの方が、もっと子供を傷つけることになるのではないでしょうか。この夫婦にはそういう発想がないのであります。 

 仮に、今は伝えないとしても、下の子はいずれ気づくでしょう。友達には二人の親がいて、自分には一人の親しかいないということをいつか知ることでしょう。その時、自分の両親が離婚していたということを誰から聞かされるかということが問題になってくるのではないでしょうか。他の子や近所の人から聞かされるでしょうか、上の子から聞かされるでしょうか。いずれにしても、親以外の人から親のことを聞かされる可能性があるわけであります。従って、自分にとって大事なことを部外者から聞かされてしまうということが、またこの子を傷つけてしまうのではないでしょうか。この夫婦にはそこまで考えていないようでしたが、私はそのように考えております。 

 

 私がこの夫婦に提案したことは、今は同じように上の子にも下の子にも離婚するという事実を伝えなければならないということでした。下の子が理解できなくてもそれをするのであります。そして、下の子が大きくなって、今の上の子と同じくらいの年齢に達した時、その時改めて、親の口から離婚の事実を伝えるべきだと私は彼らに伝えたのでした。 

 これは一つの提案でしかないので、最善の手段であると断言できるわけではありません。しかし、離婚の問題は親だけの問題ではないはずであります。子供がいる場合、子供たちもまたそれに巻き込まれるものであります。従って、親だけではなく、子供も当事者なのであります。離婚することが悪いとは決して言えませんが、子供を抜きにした行為には私は賛成しかねるのであります。 

 

 ここで本稿のテーマに戻って、離婚を子供に伝えるべきかという点を取り上げます。子供がいない夫婦にはこのことは問題にならないかとは思います。しかし、離婚する夫婦の多くは子供を抱えているものであります。だから、どうしても離婚の事実は子供には伝えられなければならないのであります。 

 子供を傷つけたくないからと言って、嘘をつく親もいます。私はこの考えには賛成できないのであります。親が離婚したという事実よりも、親に嘘をつかれていた、長年騙されてきたという事実の方が子供はより傷つくかもしれないというようには、この親は考えないのであります。 

 そして、子供が傷つくから離婚の事実は伝えないというのは、親の方便でしかないと私は考えております。親の離婚は、その夫婦だけの事柄ではなく、その家族全体の問題であります。だから子供も家族の一員である以上、子供は既に親の離婚問題に巻き込まれており、傷ついているのでありますから、決して子供を除外してはいけないというのが私の考えであり、そのことは既に述べました。そして、離婚の事実を子供に伝えるということは、離婚を決意した親が負わなければならない責任であると私は捉えております。従って、私の見解では、事実を伝えない親は、子供を傷つけたくなかったからだというような理由を挙げようと、子供に対しての責任を回避するものに他ならないのであるわけであります。 

 例に挙げた夫婦は部分的にこの責任を回避しようとしていたのだと見ることもできます。私が下の子供にも事実は伝えられなければ、それも親の口から伝えられなければならないと強く推したのは、彼らの負うべき責任を回避させないためであったのであります。 

 

 本項を読まれて、私がとても厳しいことを言っているように聞こえる人もおられたかもしれません。私がお会いするクライアントの一部は、子供時代に両親の離婚を経験している人たちであります。彼らの話を窺っていて、離婚がいかに子供を傷つけてきたかということ、仮に子供が傷つくのは仕方がないとしても、子供の傷つきにいかに親たちが無関心であったかを痛感するのであります。その思いがあったので、私の考えや言葉が厳しいものとなってしまったかもしれません。 

 肝心な点は、子供がいる夫婦が離婚する場合、それは夫婦間だけの問題ではないということを知っていただきたいのであります。既に子供たちは巻き込まれているのであり、子供たちも当事者である以上、子供たちを除外してはいけないということなのであります。 

 

(文責:寺戸順司高槻カウンセリングセンター代表カウンセラー