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<E2-10>出会いから結婚まで~交際期(4)

<E2-10>出会いから結婚まで~交際期(4) 

 

(交際期-続き) 

 交際期に関して、もう一つだけ述べておこうと思います。それはパートナー選択に関わる事柄であります。パートナー選択は、出会いの時に行われるのではなく、交際の開始頃に行われるものであると私は認識しております。その時にどういうことが当事者たちに生じるのでしょうか。 

 一般的に、最初に形成された相手の印象というものは、なかなか変更しないものであります。親子関係でもそれがあり、子供時代に形成された親のイメージは、大人になっても老年になっても、そのまま当人の中で変更されることなく維持されていることもよくあることであります。夫婦においても同じことが生じる場合があると私は思います。 

 相手がどういう人であるかという印象形成は、交際期の初期に(あるいは潜伏期の終わりころに)なされるものであり、ここで形成された印象はその後も、結婚後もそのままの姿で保持されるということであり、相手にも同じことが生じているのであります。 

 従って、現実の相手とイメージの相手とを同時に見ているような状況が生まれるのであります。交際期から結婚初期の頃にはよく見られることではないかと思います。相手のことを二重写しにして見るようなものであります。現実の相手を見て、イメージ上の相手と重ね合わせて交際を続けることもあります。 

 そもそも恋愛というものはそういうものであると思います。「あばたもえくぼ」なのであります。夫婦になるとは、相手の「あばた」が「あばた」に見えることであり、「えくぼ」は「えくぼ」できちんと見えることなのです。現実の相手が見えるようになって、それでも相手との関係を続けることなのではないでしょうか。 

 相手に関して、どのようなイメージが形成されるかということは、相手との出会い方や潜伏期における関係によって変わってくるでしょう。さらにはその人の経験してきたことなども影響することでしょう。いずれにしても、どのようなイメージであれ、交際期にはかなりの印象形成がなされており、この印象が以後も生き続けることになるのです。 

 上手くいく夫婦と上手くいかない夫婦の違いの一つがここに現れると思っています。上手くいかない夫婦は、このイメージが修正されないのであります。あくまでも初期に形成されたイメージを固持してこうとするのです。その人が頑なで柔軟性がないのか、それともそのイメージを失うことがその人にとって大きな打撃となるようなことがあるのか、それはここでは取り上げないのですが、上手くいく夫婦ほど現実の方に適応していく(現実の方に修正していく)ように私には思われています。 

 相手についての印象形成は交際期にはほぼ出来上がっており、パートナー選択はこのイメージ選択と重なるのであります。相手という人間を選択したというよりも、相手がこういう人間であるというイメージを選択しているというニュアンスが強いように私は思うわけであります。健全なパートナーは、交際期間中にすでに、このイメージをより現実的なものに修正し始めるのだと思います。その上で結婚の話が出てくるのだと思います。この意味においても、交際期間はある程度の時間がなければならないと私は考えています。一年くらいかけてそれを成し遂げていくものであると私は考えています。 

 

 一つ例を挙げましょう。ある女性は「私がいなければ夫がダメになってしまう」などと思い込んでいます。こうして彼女は夫に奉仕します。言うまでもなく、その奉仕に見合った見返りが彼女にもたらされるわけでもありません。彼女は夫に奉仕することを自分の使命とし、夫はその奉仕を甘受しているだけであります。これを「共依存」などという意味不明のバカな言葉で表現するのは止めましょう。本当に理解しているのであれば、専門語を使わずとも、日常的な言葉で十分に説明できるはずであります。 

 端的に言うと、彼女は夫を援助の必要な人であるというイメージを持っているわけであります。このイメージは結婚前にすでに彼女の中で形成されていたものでした。彼がそれだけの援助が必要な人であるかどうかは不明でありますが、彼女の中では今でもそういう姿の夫が見えているわけであります。結婚前に彼女の中で形成された夫イメージは、結婚後8年近くを経ても修正されていないのであります。 

 こうして、彼女が援助します。援助そのものが悪いというわけではありませんが、彼女の払った犠牲に対しての報いが何もないのです。彼女がカウンセリングを求めてきたのは、どうやら自分の持っている夫イメージに疑問を抱き始めたからでした。 

 この女性の詳細は述べないことにしましょう。一つ言えることは、「私が夫を立ち直らせることができる」というのは、彼女の「思い上がり」に過ぎないのです。この思い上がりは、彼女が現実の彼女以上の自分をイメージしていることに起因するのであり、実は彼女が自分に対して持っているイメージも現実とはかけ離れていたのであります。そして、夫に対しても、現実の夫とはかけ離れたイメージを彼女は持っているわけであります。 

 また、彼女のこの「思い上がり」には同時に彼女の「万能感」も含まれているようでした。「私は夫を立ち直らせることができる、私だけがそれをできる」という感情であります。この万能感も彼女の現実の能力を遥かに超えたところに限界を設定させてしまっているのであります。彼女は自分にできる以上のことを相手にしてあげなければならなくなっているのでした。要するに、彼女はもう限界を感じているのにそれを認めようとしないということであります。 

 私から見ると、彼女がどんな援助をしようとも彼が真人間になる可能性はゼロでありました。つまり、彼を立ち直らせようとすれば、彼女がやっているような援助では意味がないということであります。むしろ、それは彼をますますダメにしているかもしれないのでした。 

 ある時、私は彼女に伝えます。「あなたが夫に援助してきたけど、それで彼は自分は最高の妻を持ったと思ってくれる夫なのでしょうか」と。彼女は大いに感情的になりました。荒治療とは思うけれど、彼女の夫イメージ修正にはつながったようです。後日、それも彼女が落ち着いてからのことですが、夫の現実の姿を突きつけられたことは良かったと述懐します。もっと早く夫イメージが修正できていればよかったということも彼女は述べました。その後、彼女は夫と離婚することを考えるようになったのでした。それは彼女の選択であるので、それに関する諸々のことをすべて彼女が引き受けるのであれば、それでいいと私は思いました。 

 

 交際期に関してはこれくらいにしておきましょう。結婚・夫婦になることの恐怖感や両価感情などはこの時期に顕在化し、それは交際期間の長短として現れることを示しました。過度に短い交際期間は、結婚に焦りがあり、例えば結婚できるなら相手は誰でもいいというような気持ちが生まれ、相手のことをよく知る以前に結婚してしまうこともあるようです。一種の自己棄損のようにも私には見えます。 

 交際期間が明確な理由もなく長期化するのは、抵抗感や嫌悪感がより前面に出ているのでしょう。結婚に対しての抵抗感や嫌悪感は、当人に意識化されていることもあればされていないこともあり、また漠然とした感情として知覚されていることなどもあります。それでも一方の働きかけによって結婚に至ることもありますが、この抵抗感や嫌悪感は結婚後も持ち越され、さまざまな形となって問題化することもあるのです。 

 また、交際期間の長短だけでなく、交際の内容に目を転じても、結婚に対するアンビバレント、もしくは抵抗感などが見られ、結婚まで多難な道のりを歩むこともよく見られることであります。 

 最後に、相手のイメージが交際期間において形成されること、そのイメージは現実の相手からはかけ離れているかもしれないけれど、それが修正されずに結婚後も保持されていることを取り上げました。 

 述べ足りないこともありますし、言葉が足りないと思うところも多々あるのですが、私たちは婚約期に論を進めていくことにします。 

 

(文責:寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)