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<E2-23>キレる配偶者~事例夫婦C

<E3-23>キレる配偶者~事例夫婦C 

 

 もう一人、引き下がりパターンの夫を取り上げようと思います。この夫婦を夫婦Cと呼んでおきましょう。クライアントは夫の方であります。夫Cは、前項の夫Bさんと比べると、はるかに温厚そうで、柔和な感じの男性でした。Bさんがキレるのは頷けても、Cさんがキレるというのはちょっと信じがたいと思われるくらいであります。 

 彼が最初にカウンセリングに来た時、これまでの経緯を紙に書いてきました。それを読もうとされたので、私はそれを制して、読むのではなく、自分で話すように促しました。ちなみに、紙に書いて読むというのは彼の妻の提案だったようでした。カウンセラーだったらこういうことを聞きたがるだろうからと、妻が手伝って原稿を書いたようでした。 

 彼の訴えは、妻にキレてしまうということでした。彼もまた自分が妻にキレないようにと懸命に堪えるのであります。そして自分の部屋(もしくは自分の車)に引き下がろうとするのですが、妻がついてくるのであります。そして、最終的に彼がキレてしまうというパターンが続いていたようでありました。 

 彼は自分がキレてしまう理由を明確に述べています。「妻がしつこいからだ」と彼は言うのです。どうも彼の妻という人が「尽くしたい」感じの人であるようで、夫に何かあると夫以上に心配し、あれやこれやと気を回すようであります。従って、彼が不機嫌になると、妻は彼を助けたいと思ってしまうのでしょう。それで何かできることはないかとしつこく食い下がることになってしまっているのでしょう。 

 彼がキレると、やはり妻に対して悪い気がすると述べます。妻は悪気があって食い下がっているのではないことが彼には分っているようであります。彼がキレると、その後、彼は必ず妻に奉仕するということをしているようであります。 

 例えば、この妻には持病があり、定期的に病院に通うのでありますが、彼が休みを取って病院まで付き添ってやったりするのであります。そういう時は妻も素直であると彼は言います。その他、妻の好きなものをプレゼントしたり、食べたいと思うものを一緒に外食したり、彼がキレた後はそうして妻に奉仕するのであります。 

 どうも妻の方は彼を助けなければならないと考えているようであり、彼自身も妻の助けを感謝しているようであります。それが度を超すと、彼には耐えられなくなるようであります。実際、彼は助けを必要とする人でもありました。結婚してしばらくは彼は仕事が上手くいかなかったようであります。職場が耐えられなくなるそうであります。今、割と自由な空気のある職場に入ってからは、もうそういうことはなくなっていたのでしたが、彼の中では妻は辛い時に支えてくれたという思いもあるようであります。 

 彼がキレるようになったのは、彼がその職場に入ってからのようであります。それ以前にもキレることがあったかどうか、彼の中でもはっきり覚えていないようであります。ちなみにその職場というのが、あまり上下関係の厳しくない雰囲気であるそうで、彼は上下関係とかが苦手だと述べていました。 

 職の方で上手くいき始めたので、妻の援助が若干余分なものになってしまったのかもしれません。それ以前であれば妻の援助に助けられていたのだけれど、今はそれと同じことを妻がやると援助過剰に感じられてくるようであります。彼がもはやそれほど援助を必要としなくなっているのでありますが、妻の方では彼はまだ援助が必要な人と映っているのかもしれません。彼には妻の援助がだんだん煩わしく感じられてきたようであります。 

 彼の中で否定的な感情が生まれてくると、最初はそれを抑制しようと頑張るらしいのですが、耐えられなくなると彼は引き下がるのであります。妻には、彼が援助を拒否しているように見えるかもしれません。そうして、妻の中で、自分が夫の役に立っていないという不全感に襲われ始めるように私には思われたのであります。 

 妻からすると、最近になって夫がよくキレるようになったとか、夫が以前とは違ってきたというふうに見えるのではないかと思います。それで夫に何か良くないことが生じていると考えて、カウンセリングを受けるように夫に勧めたのでしょう。私のところを選んだのも彼女のようであります。そして、前述のように、初回面接には夫に原稿を用意させたのであります。 

 今の話で一つ重要なところは、この妻が私のところを見つけ、選んだという点であります。彼女は私については肯定的な感情を持っていることが窺われるのであります。 

 

 さて、夫Cさんのカウンセリングは4回ほどで終了しました。妻が夫の役に立とうとしているのであります。その気持ちを尊重し、実現しながら、一方で彼に引き下がる自由が得られれば、彼がキレることはなくなるだろうと考えました。 

 彼がキレそうになったら、そこに至る前に次のようなことを妻に言うように私は伝えました。「30分だけ一人にしてくれないか。30分したら出てくるから、それから話を聴いてほしい」というふうに妻に伝えるようにしてほしいということであります。 

 この際、時間は10分でも30分でも60分でも構わないのですが、ハッキリと伝えなければならないこと。そして、10分だったら10分で、時間が来たら妻の前に姿を見せること。時間を明確にして、尚且つ、その時間を彼は厳守しなければならないのでありますが、必ずその後で妻に役立ってほしいということを伝えるのであります。 

 彼はやってみますと答えます。そして、妻にカウンセラーからそういうことを指示されたと話したのです。妻が肯定的な感情を持っていてくれていることで助かったのでありますが、カウンセラーがそう言うならそういう風にしてみると約束されたのでした。 

 そして、カウンセリングが終結するまでに2度ほどその場面があったのであります。彼は30分だけ一人にしてほしいと妻に頼むのです。妻の方も、分かったわ、30分間ね、と彼の要望を受け入れます。そしてお互いに別室で30分過ごし、再び一緒になって、彼は妻に話をするのでありました。 

 この時、彼は自分がとても妻に支えられているという感じを受けたそうであります。妻の態度も30分前のものとは違っていて、かなり落ち着いていたようであります。そうして、二人で話し合いをし、穏やかにその日を終えたのでした。 

 今までもそういう風にしていれば良かったと思いますと、彼は語り、これで当面は上手くいきそうな感じがするので、ここでカウンセリングを終了したいと申し出てきたのです。私の中では一抹の不安もあるのですが、当面は上手くいきそうであるならそれでよしと考え、彼の終了を承諾したのでありました。 

 

(文責:寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)