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<T006-06>(R2-11)自分の問題であることを受け入れる

<Ⅱ-11> 自分の問題であるということを受け入れる (約2600字) 

 

 カウンセリングにおいて、その初期の課題の一つは、クライアントがそれが自分の問題であるということを受け入れることであります。私はまず、それを援助しなければならないと考えています。 

 クライアントに限らず、人間というものはなかなか自分の問題であるということを受け入れられない存在なのかもしれません。確かに、何か困難や不都合が生じて、それが自分の問題であるということは、部分的には受け入れることができるかもしれませんが、すべてが自分の問題だというのは、何か不公平のような感じがするものであります。 

 クライアントの中には、それは他人の問題であって、自分の問題ではないという態度を取る人もあります。自分は全く問題がないという態度の人もあれば、自分は被害者なのだということを前面に打ち出す人もあります。それが自分の問題であるということを受け入れるということは、他人の問題であったり、被害者であったりしても尚、自分にできることが何かあっただろうか、自分がどうしていれば避けることができたであろうかといった可能性を追求していくことでもあります。人間の心というものは、こういう作業を通して成長する部分もあるものです。 

 

(事例)夫の浮気のショックから十年間立ち直れない女性 

 ある女性のクライアントは、夫の浮気を目撃して、それ以来精神的な不調に陥りました。そして、こんな状態になったのは夫のせいだと訴えるのでした。それは確かにショッキングな体験であったことは理解できるのです。しかし、夫の浮気現場を目撃してから、十年経っても彼女が同じ状態に留まっているということが問題なのでした。 

 一体、この十年間、彼女はどのようなことをしてきたのだろうか。私は疑問を感じて尋ねてみました。彼女は、いろんな精神科の病院を巡り、何人ものカウンセラーと会ってきたということでした。つまり、彼女は臨床家と短期間の関係を繰り返してきたのでした。 

 このことから、彼女は一人の臨床家と長期的に関係を結ぶということが難しいようであることが私には理解されてきました。おそらく、彼女のそうした傾向は夫の浮気と無関係ではないでしょう。夫との関係においても、彼女は何か問題を抱えていたはずなのであります。しかし、彼女は自分のそうした傾向が問題であるとは意識していないようでした。そして、自分の問題に向き合いそうになると、彼女は臨床家との関係から逃げてきたのでした。 

 つまり、彼女が自分の問題と向き合わないためには、夫は加害者であり、彼女自身はいつまでも被害者の立場に留まらなければならないのでした。この十年間、彼女は夫の被害者であったのではなくて、自分の問題から逃げてきたのでした。逃げ続けるから、この状態は変わらずに、維持されてきたのでした。 

 常識的に考えれば、浮気をした夫に責任があるということになります。また、夫の浮気相手の女性は、クライアントの知人であったということもあるので、このことも彼女に打撃を与えたのでした。もちろん、この女性にも責任があるということになるでしょう。だからこそ、彼女が被害者であるということは否定できないのであります。 

 彼女の何かが夫を浮気に走らせたと表現すると、語弊があるかもしれません。しかし、その「何か」の部分に、彼女が取り組むべき問題があったのではないかと思われるのです。ただ、自分は被害者で、夫と知人の女性によって苦しめられている、このような運命を怨んでいるという段階にとどまり続ける限り、彼女は前に進むことができないのであります。自分が、この件で何かの役割を果たしてしまっているのではないかということ、この件で自分が変わらなければいけない部分があるのではないかを発見すること、つまり、これは自分の問題でもあるということを認識する必要があったのでした。 

 このようなことを伝えると、彼女は、一応、私の言っていることは確かだと思うと答えたのでした。しかし、自分の問題とは思いたくないと言って、彼女はカウンセリングから離れて行ってしまったのでした。確かに、私の対応も早すぎたとは思います。しかし、遅かれ早かれ、彼女はそれを自分の問題として受け止める必要に、本当の意味で、気づかなければならないだろうと、私は今も考えています。もし、それを避けるなら、二十年後も、今の状態のままでいるかもしれません。 

 このクライアントについて、もう一言だけ追加しておきましょう。彼女は確かにショッキングな体験をしました。彼女の知人と夫が浮気しており、その浮気現場を目撃してしまったという体験は、確かに、彼女には耐え難いことでした。その場面を私にも話してくれましたが、それは本当に生々しく、彼女にとっては思い出したくもない場面でした。私は、彼女のその苦痛を軽視しているのではありません。それは、彼女の述べたように、その後の彼女の人生を大きく変えてしまうほどの影響を彼女に及ぼしたのでした。 

 しかし、私が取り上げようとしたのは、現在の彼女がどのような人生を送っているかということでした。カウンセラーや精神科医は、彼女の求めているものを部分的には与えてきたことでしょう。それは彼女の友人たちも同じでした。彼女は他者からの同情や憐れみの中に生きていたのでした。他者からの同情や憐れみだけが唯一の支えであって、それらがなくては彼女は生きていけないのでした。その生き方こそ、彼女が変えていかなければならない部分なのだと私は考えます。「病人」としてしか、あるいは「被害者」としてしか生きていけないという、その存在の在り方こそ変わっていく必要があるものだったと思います。 

 

 他人を攻撃する方が、自分の問題に直面するよりかは、はるかに容易でしょう。被害者の立場に留まれば、周囲の人からの同情は得られるでしょう。結局のところ、そういう人は、どこかで気づかなければ、いつまでもその状態にとどまり続けることになるかもしれません。 

 確かに、ある事柄について、それが自分の問題であるということを受け入れることは苦しいことであります。私もそういう経験をしたことがあります。自分が正しいと信じてきた信念が覆されるような体験をするわけであります。しかし、そのような体験をしたことによって、そこから前に進めることができたというのも事実なのであります。 

 

(文責:寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー