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<T006-07>(R2-12)自分に何が起きているかを理解すること

<Ⅱ-12> 自分に何が起きているかを理解すること (約2400字) 

 

 カウンセリングに訪れるクライアントは、ほとんどすべてのクライアントがそうなのですが、自分にどういうことが起きているのか、まったく理解できない状態で訪れます。クライアント自身には、これは混乱として体験されていることが多いようです。 

 また、自分に何が起きているのか自分でも分からないという体験は恐ろしいものであります。そこでは、自分がどうなっていくのかという見通しも立たず、自分自身が主体性を持った一人の存在であるという感覚も失われていくものであります。このような人に援助の手を差し伸べようとするなら、当然、彼に何が起きているのかということを検討していくことになることは、理解していただけるだろうかと思います。 

 特に、クライアントの外側で起きていることよりも、クライアント自身の内面でどのようなことが起きているのか、それを私は理解したいと望んでおり、混乱しているクライアントにとってもそのような理解を得ることが必要であると考えています。クライアントにとっても、それは必要な理解であるということです。 

 ここで一つ、事例を挙げてみることにします。 

 

(事例)予約時間を早めて欲しいと頼んだ女性クライアントの例 

 ある女性クライアントは、初回面接を受けて、次回もまた受けたいと希望されました。次回の予約を取る時に、彼女の希望した日時に、生憎、別のクライアントが入っていたので、私はもう一週先にしてくれるように頼んだのでした。彼女は、その時はそれを快く受け入れてくれました。 

 翌朝、彼女から電話がかかってきました。彼女は「先に予約を取っている人に代わってもらえないだろうか」と要求してきたのです。先に予約を取られていたクライアントにお願いして、曜日を変更してもらえないだろうかと言うのです。私は「ちょっと、その人に連絡を取るから、後でまた電話してほしい」と彼女に頼みました。 

 さて、私はどうしたものかとしばらく迷ってしまいました。先に予約を取っておられた方に、後から入った人のために変更をお願いするというのも、正直言って、あまり気が進みませんでした。その人は以前から来ているクライアントだったので、私がお願いすれば、彼女のために日時を改めてくれるだろうということは予測できたのですが、それをすることが彼女のためになるだろうかということも考えました。そして、電話する代わりに、私は「彼女に何が起きたのだろう」と考えてみることにしました。 

 昨日、面接を終えた時点では、二週先の予約を承諾してくれたのに、一夜明けると、それに反対したのです。昨夜、彼女にどういうことが起きたのだろう。まず、私は、昨日の面接が彼女にとって、とてもいい体験であり、有意義なものであったという仮説を立ててみました。だからこそ、次回も受けたいと望み、二週間でも待つことを選んだのでしょう。それが急に、それだけ待てなくなったということなのです。では、何が彼女を待てなくしてしまったのだろう。恐らく、何かが不安になってきたのではないかということだと考えました。では、それはどのような不安なのだろうか。いい体験であったがためにもたらされるような不安とはどういうものだろうか。 

 

 その日の終わりころ、彼女から電話がかかってきました。彼女は「どうでした?」とまっ先に尋ねます。私は、「その人もその時間にしか来れないような人なので、変更したくないということでした」と伝えました。 

 これは、実は嘘でして、実際は、彼女のことを考えているうちに、電話するのを忘れていたのでした。 

 彼女は「そうですか」と、がっかりしたようでした。その後で、私は考えてきたことを述べてみることにしました。「何か急に不安に襲われるようなことが起きたのではありませんか?」私が尋ねると、彼女は「そうなんです」と答え、どういうことが心配になったのか少し話し合いました。彼女によると、確かにカウンセリングは、彼女にとって初めての体験で、とても良かったということでした。 

 しかし、それが良かっただけに、「二週間先でも、わたしのことを覚えていてくれるだろうか」といった心配が出てきたのでした。私が、彼女から見て、どうでもいいような人間であったなら、私から忘れられても気にはしなかっただろうということでした。いい体験を与えてくれた相手であるから、つまり、彼女にとって重要な存在に感じられたから、私から忘れられるという恐れに耐えられなかったのでした。 

 彼女はそれと言わなかったのですが、彼女にとって重要な他者は、彼女のことを忘却するという体験が繰り返されてきたのではないかと、私に思わせたのでした。私は「二週間先でも、あなたのことは忘れないし、その時間に、あなたをお待ちしておりますから、きちんとあなたのことを覚えておきますから」としっかり押さえ、二週先に予約日時に来てもらうように頼んだのでした。 

 彼女は二週間待ってくれました。途中で一回、不安に襲われたのか、電話をかけてきましたが、私が彼女のことを忘れずに覚えているということを知って、彼女は安心したようでした。 

 初回面接の翌朝に電話をかけてきた時は、彼女は不安に襲われてパニックになっていた感じでした。あのままの状態では、二週間はおろか、三日でさえ耐えられなかったのではないかと思います。お互いに、彼女にどういうことが起きているのかを一つ一つ理解して、それを共有できたことが、大いに役立ったのであります。 

 

 自分に何が起こっているかを理解できる、そしてそれをカウンセラーと共有されるという体験は、その人にかなりの安心感をもたらすものであります。私の体験でもそういうことが何度もありました。混乱している時や自分でもよく分からないことをしてしまった時などには、特にそうでした。自分自身への理解が深まると、安心感につながるのだということを私は学んだのでした。 

 

(文責:寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー