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<T007-03>愛することと働くこと

コラム3~「愛することと働くこと」 (約2000字) 

 

 本文中で「愛することと働くこと」に言及している箇所がありますが、そこは訂正が必要なので、この場を借りて訂正したいと思います。 

 本文ではそれが「心の病」の原因であるみたいに書かれているのですが、それはライターさんの勘違いなのであります。私が述べたのは、「心の病」というのは「愛することと働くこと」において顕在化するということだったのです。ライターさんはそれを「原因」であるというように捉えたのでした。 

 第三者に書いてもらうと、このような箇所が必ず出てくるものでありまして、やはり、自分の述べることは自分自身で文章化する方がいいと、あらためて思うのであります。 

 

 さて、この「愛することと働くこと」という言葉が生まれた場面が伝えられています。それはフロイトを中心とした精神分析家のグループにおいて、弟子の一人がフロイトに「健康な大人の条件とは何か」といった質問をしたのでした。フロイトはしばらく考えて、「愛することと働くこと」(Lieben und  Arbeiten)と答えたのであります。高尚な答えを期待していた弟子の中には、この答えに失望したというような逸話も残っております。しかしながら、私が思うには、これほど的確な答えはないのでした。むしろ、毎日患者を診ているからこそ生まれた言葉であると、私は捉えております。 

 繰り返しますが、これが「心の病」の原因ではありません。「心の病」の原因というのは、実はよく分からないのであります。というのは、「心の病」に関しては、原因と結果が一対一の関係で成立するというようなことがあり得ないからであります。従って、これがあったためにこういう「心の病」に罹ったというようには言えないのであります。いろんな要因が絡んで「心の病」という現象につながっているものであります。 

 

 さて、ある人が「心の病」であるかどうかということは、見た目ではまず分からないものであります。その人が、愛情生活・愛情関係において、あるいは労働生活において、困難を示している時に初めてそれが分かるのであります。「心の病」は「愛することと働くこと」の領域において、初めて表に現れることが多いのであります。 

 フロイトの表現が的確であるのは正にこの点であります。もし、「愛することと働くこと」の領域において、その人が問題なく適応しているとするならば、その人には治療が必要なほどの「心の病」を抱えていないということになるからであります。そうであるならば、弟子の質問に対してフロイトは、これ以上の回答は望めないほどの、優れた回答をしているということになります。 

 もう少し正確に述べるなら、「愛することと働くこと」の領域で困難が生じているということは、その人の心に何か障害があるということになるのです。しかし、だからと言って、何がなんでもこの領域で適応するために努力をする必要があるというのも正しくはないのであります。むしろ、健康な自我、健全な自己愛、しっかりしたアイデンティティ感覚を身につけている人は、「愛することと働くこと」の領域に自然に入って行くことができるのであります。無理矢理にでも適応しようとしている人は、どこかに「心の病」を抱えている可能性があるわけです。 

 

 私自身が、「愛することと働くこと」という、この言葉の素晴らしさを実感したのはいつのことだったか、正確には覚えておりません。しかし、こういう領域に注意してクライアントの話に耳を傾けていくと、クライアントのことがとてもよく理解できるような感じを受けたのを覚えております。 

 「愛することと働くこと」というのは、私自身の使いなれた言葉に翻訳するなら、「イロ」と「カネ」のことなのであります。 

 「ひきこもり」の傾向のある男性クライアントがいました。面接において、彼は自分の哲学や彼が考えたストーリーとか、好きなアニメ・キャラクターのことなどを話しました。正直に申し上げれば、私には彼の話がさっぱりわからないで困っていました。ところが、彼が少しでも「イロ」か「カネ」に関する事柄を洩らした時には、必ずそこに介入して話を広げるようにしてみました。そのような話し合いをした時は、とても話が深まって行ったという経験をしたことがあります。それ以来、「イロ」と「カネ」は私にとっては重要なキーワードになっているのであります。 

 

 実際、愛情生活の領域と労働生活の領域というのは、それだけで私たちの生活の大半を占める大きな領域であります。それ以外の領域というのは、本当にわずかなものでしかありません。それだけ広大で、かつ価値のある領域であるからこそ、人はそこでさまざまな問題を体験してしまうのだと述べることもできるでしょう。そして、この領域で適応するということは、その人の人生を価値あるものにしていくことにつながるであろうと、私自身は捉えております。 

 

(文責:寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー