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<T2-4>怒り

<T2-4>怒り 

 

 本書で取り上げる現象は人間の怒りという感情です。怒りの感情がどういうものであるか、読者の一人一人に思い当たる節がるかと思います。それだけ、怒りの感情は日常、私たちが経験するものなのです。 

 その他の感情と比べて、怒りの感情が厄介なのは、それはとても激しく不快で、時に自分を見失わせ、他者との関係にひびが生じたり、その感情の処理に失敗するからではないでしょうか。 

 怒りの感情はしばしば良くないものとして体験され、忌避される傾向が強い場合もあります。でも、これは身近で重要なテーマでありますので、丁寧に考察していく必要があると私は考えます。 

 恐らく、読んでいて気持ちのいいものにはならないでしょう。テーマそのものが不快感を催すものだからです。怒りは敵意へと発展し、それがさらには憎悪へと進んでいくというのが私の見解です。 

 怒りにはその怒りをもたらした対象があるのです。敵意や憎悪にもやはり対象があるのです。もし、その対象がとてもはっきりしているようであれば、対処は比較的容易であります。 

 ところが、カウンセリングの現場で認識されるのは、怒りの対象は実にさまざまであり、且つ不鮮明な場合も多いということです。その怒りは外の世界に対しての場合もあれば、自分自身に対しての場合もあります。他者の場合もあれば、物が対象になっている場合もあります。何に対して、どういうことに対して怒りを経験するかということは、とても一概に言えるものではないと思うのです。 

 また、怒りの対象がはっきりしていないこともあります。漠然としたイライラに悩まされているとか、何でもないような事柄に過剰に爆発してしまうとか、そうした例は恐らく、当人にも怒りの対象が見えてなく、その怒りの本質的な部分が見えていないためなのです。 

  

(文責:寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)