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<T2-9>人間の攻撃行動

<T2-9>人間の攻撃行動 

 

 怒りの感情を体験すると、そこから攻撃行動が誘導されます。怒りが必ずしも攻撃行動をもたらすとは限らないのですが、多くの場合において、なんらかの攻撃行動が怒りに引き続いて生じることが観察されます。 

 攻撃ということですが、これは動物にもあります。コンラート・ローレンツやティンパーゲンなどの動物行動学者は動物の攻撃本能を認めています。ただし、一方で動物には攻撃抑制本能も備わっていると述べています。 

 これはどういうことかと言いますと、動物が同じ種どうしで争った場合、相手を殺してしまうことは種の絶滅につながるわけです。種の存続のため、いくら争っても相手を死に至らしめる前に攻撃が抑制されるということなのです。それを動物は本能的に有していると言うのです。 

 人間には、幸か不幸か、そういう攻撃抑制本能が備わっていないのです。私たちは同じ人間同士で争った場合、相手を死に至らしめることができてしまうのです。私たちの中にそれを抑制する本能も機構も備わっていないのです。だから人間は社会的な攻撃抑制を必要としてきたのです。法はそのようにして出来上がってきたのだと思います。 

 そして、外側の抑制以上に必要なことは、私たちの一人一人が内的にそれを達成していくことではないかと、私は考えています。 

 私たちの中に攻撃抑制本能が備わっていないとすれば、それはとても恐ろしいことなのです。もし、私とあなたが争ったとします。あなたは私を殺すことができるし、私もあなたを殺すことができるということなのです。私たちの中には、自然にそれにストップをかけてくれるシステムを有していないということなのですから、私たちは意図的にどこかでこの争いを終えなければならないということなのです。死に至るまでやり合うか、そこに至るまでに和解するか、私たちは意図して選択しなければならないのです。 

 攻撃抑制機構を有せず、攻撃衝動だけはあるというのは、本当に爆弾を抱えているようなものだと私には思われるのです。だから、私たちは一人一人が、破壊的に生きるより、建設的に生きることの方がどれだけ大切なことであるかが理解できるのです。 

 ローレンツらの見解によれば、私たちの中には抑制してくれるものがないわけなので、私たちは攻撃の抑制ということを学んでいかなければならないのです。私はそう考えるのです。 

 

(文責:寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)