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2018年10月2日 火曜日

10月2日:書架より~『人間の気質と信仰』

10月2日(火):書架より~『人間の気質と信仰』(O・ハレスビー) 

 

 本書はいささか個性的な本である。著者はノルウェーのキリスト教神学者であり、人間の気質に応じて教示や訓戒を調整していくこと、それぞれの気質保有者に応じた鍛錬の仕方を考えることが本書の主題である(と僕は読んでいる)。それぞれの気質の長所短所を取り上げ、カウンセラー(これは牧師とか神父とかの人たちを指す)への示唆を与え、自己鍛錬の道を示すという構図を持っている。そして、ここがもっとも個性的なのであるが、気質がガレノスの4気質論に基づいていることである。 

 

(1 気質) 

 まず気質をどのようなものとして考えるか、著者の見解が述べられる。個々の人間の相違は、肉体的な差異よりも、こころの差異の方が大きい。それは気質に基づく。気質は持って生まれたものであるが、意識的な訓練などによって影響を与えることはできるとする。 

重要な指摘は、気質というものが想像上の概念であるということである。こうした概念は実体ではないが、この概念を用いることで知識が整理されるわけである。 

 

(2 多血質) 

 この気質の長所として以下のものが挙げられている。現在に生きる才能を持っている。他人に共鳴できる。思いやりがあり、同情的である。生を豊かにする可能性を持っている。一方、短所としては、気まぐれであること、信頼ができないことなどが挙げられている。日々の忍耐と自己吟味がこの人たちには必要である。聖書の中の人物で言えば、使徒ペテロがそうであったという。 

 外界との透過性が高く、熱中しては冷めるといった移ろいやすい人であるようだ。熱中することで決断を回避するという指摘は秀逸だ。 

 

(3 憂鬱質) 

 これは多血質の正反対の気質である。長所としては、豊かな敏感さ、徹底的であること、自身の限界を知っていること、誠実であり信頼できることなどが挙げられる。短所は自己中心的、感受性が強い、非妥協的、人と折り合えない、悲観的、自尊心が強い、消極的で非実践的、決断が鈍い、特別な召命を帯びていると信じるなどが挙げられている。この気質者は神学的疑問を持ちやすく、徹底してそれに取り組むが、他者に没我的に奉仕して自分自身への注視を控えさせることが必要となる。聖書ではヨハネがこの気質の人物であったという。 

 多血質が「気が短い」のに対して、憂鬱質は「執念深い」という比較は絶妙だ。僕は多分にこの気質を持っていると自分では思うのだが、「批判的な目を自分に向けるほど、他人の弱点を我慢することがそれだけ容易になる」という指摘は、僕の実体験からもその通りだという気がする。 

  

(4 胆汁質) 

 この気質は活動家である。長所としては、強い意志力、実際的で鋭敏であり、対処力があり、逆境にも強いといった点が挙げられる。短所としては、冷酷であり、性急且つ激烈であり、自信過剰であり、高慢且つ横暴であり、狡猾で執念深くなることもあるなどの諸傾向が挙げられている。他人に詫びるということが、この気質者の鍛錬に必要である。聖書中の人物ではパウロがこれに該当するという。 

 「最も野性的な子馬こそ、馴らされた場合には、駿馬となる」という比喩は絶妙。荒々しい性格を抑制することだけを考える人たちに読ませてあげたい文章だ。また、こういう行動的な人に対しては、実践的な教示がいいということも勉強になった。 

 

(5 粘液質) 

 この気質は胆汁質の正反対で、非活動的と要約できる。長所としては、人との折り合いがいい、冷静で信頼できる、実際的であるなどが挙げられている。短所としては、遅鈍、怠惰、便宜主義、他者への無関心、高慢などの傾向が挙げられている。目的遂行への実践が鍛錬としては必要である。 

 僕はこの気質は引きこもりの人に多いと感じた。読みながら、幾人かの引きこもり者たちのことが思い出されてきた。そういう人たちを理解する上で有益そうに思った。 

 

(6 気質の重要性) 

 最後の結論として、人は自分の気質を変える必要はないこと、気質を消去させてはいけないこと、それは鍛錬され、修正され、聖化(昇華)されるべきものであるとの主張が展開される。個人が持つ自然を生かすことであり、個人を不自然な存在にすることではないのである。なぜなら、その自然もまた神から授かったものである。 

 

 

 以上が本書の概観である。著者がキリスト教神学者であるだけに、内容は神学である。しかし、性格心理学のテキストとしても(僕はそのつもりで読んだ)読むことができる。もっとも、現代ではあまり4気質説は採用されないことが多いが。 

 叙述は明快で、特に比喩的表現に感心した部分が多かった。116ページの小著でありながら、内容的には豊かであり、最後は希望で締めくくるところはキリスト教神学っぽさを感じる。 

 本書の唯我独断的評価は、4つ星というところだ。割と良かったといった位置づけだ。 

 

<テキスト> 

『人間の気質と信仰』(Temperament and the Christian Faith)O・ハレルビー著 

 杉山昭男 訳  聖分舎  

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

投稿者 高槻カウンセリングセンター

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