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2020年4月30日 木曜日
4月30日:コロナ・ジェノサイド~数字
4月30日(木):コロナ・ジェノサイド(37)~数字
4月も終わる。外出と営業の自粛を続けているものの、果たしてどれだけの効果が上がっているのだろうか。
人との接触を8割減らすということを政府は目標に掲げている。接触の8割減というのは分かりにくい数字である。外出すれば人と接触する機会が増えるわけだから、接触8割減は外出8割減というように僕は換算している。
接触は相手があってのことだから指標としては設定しにくい。つまり、自分は減らしているつもりでも、向こうから接触してくることもあるからだ。接触の機会に偶然に晒される(例えば買い物に行ったら店が混雑していたなど)こともあり、こういうのは完全に回避できない。
外出8割減なら、これは自分の行動が指針のすべてになるわけだからやりやすい。自分の外出回数並びに外出時間を従来の8割減らせばいいということなのだから自己管理もできる。
この「8割」という数字が実に曖昧である。当然、これは場所によって違ってくるものだと思う。大都市圏では8割削減が正しくても、地方の小都市では6割減くらいでもいいのではないかと思えてくる。まあ、大都市圏の人が地方に流れたりするので、一律8割減とする方がいいのかもしれない。いずれにしても、何をもって8割削減が実践できていると評価していいのか曖昧である。
今日は数字に関して思うところを述べようと思う。とかく、多くの数字が出ている。僕は日本が公表している数字はすべて眉唾物であると考えている。
感染者の死亡率は2%だと聞いたことがある。2%というと決して多くはないように見えるかもしれない。感染者の9割以上が治癒しているということになるからだ。しかし、この数字も絶対的なものではない。ウイルスが変異して毒性が強まることもあり得るし、医療崩壊が起きて本来なら助かる人が助からない状況になってしまうかもしれない。そうなるとこの数字は上昇する可能性を持っていると思う。
感染は人との接触によるものだとされている。だから接触の機会を減らそう、「3密」を避けようという理屈は分かる。外出自粛も営業自粛も頷ける。
しかしながら、人々の自粛の努力はどこに現れるだろう。どのように数値化されるのだろう。僕は疑問である。
しばしば感染者数で測られることがある。しかし、これは検査率との割合で述べなければならない。例えば、一日目の感染者数は100人だった、二日目は200人、三日目は再び100人になったと、こういう数字があるとしよう。これだと二日目にグンと上がった山形の数値を示している。
もし検査数が毎日一定ではないとすると、検査の数が多ければそれだけ感染者を発見する数も増えるだろう。だから、検査数も含めなければならない。先ほどの三日の数字に対して、検査数が一日目は1000件、二日目は2000件、三日目は500件だったとしよう。そうすると一日目と二日目はともに10%の発見率ということになり、横ばい状態だったことが分かる。三日目の100人は500件のうちの数だから20パーセントになり、三日目で感染発見者数の率が倍増していることが分かる。
毎日検査数が一律なら、そこで検査にひっかかる人の数、つまり陽性者の数の上昇はそのまま感染者数の増加とみなして差し支えないだろう。しかし、検査数が一定でないなら、検査数における陽性者の率を計算し、その発見率の増減で考えなければならないわけだ。
さて、僕たちは人との接触を減らし、外出を控え、仕事も自粛している、こういう努力がどの程度実っているのかをどうやって数値化すればいいだろうか。
これはつまり、僕たちの努力の程度と感染発見率の増減との相関を計算すればいいということになる。この相関係数がr=.6(で良かったのかな)以上であれば、両者には相関関係があるということになる。そうなれば、僕たちの努力は感染拡大の抑制につながっていると評価できるのではないかと思う次第である。
ちなみに僕は数学が大の苦手だ。学生時代から数学は赤点ギリギリのところで踏ん張ってきたような生徒だった。心理学を勉強し始めてからも数学には泣かされっぱなしだった。こんな僕の言うことだからどこまで当てになるかは不明である。どうやって計算していいかも分からない。どこをどう因子分析にかけたらいいのか、ちっとも分かっていないのである。
しかし、一度、誰かにそういう計算をしてもらいたいものである。僕たちの努力が感染拡大抑制にどの程度の関連を持っているのか知ってみたいところである。努力と結果との相関係数を示してもらいたい。それを知れば、専門家の意見は正しかったと評価できるのだ。それを知ることができないので、専門家の意見に対して半信半疑になってしまう。
数字というものは、如何様にもごまかしがきく。一般の人は数値で示されるとより信頼が増すようである。僕はそんなことはない。数字はいくらでもごまかしができるから、却って当てにならないと考えている。
それはさておき、政府が公表している感染者数も死亡者数もどこまで現実を反映しているかは不明である。最初に実態調査がなされなかったことが混乱を招くのだ。増えたとか減ったとか言っても、基準となる数字、比較の元になる数字を持っていないのだ。せいぜい前日より増えたとか、一週間前よりも減ったとか、その程度しか言えなくなるわけだ。状況は日々異なっているのだから、その増減の数は本当に意味があるのかと訝りたくなるほどである。
さて、コロナ問題は1月から始まった。2月は、クルーズ船のことなんかもあり、政府も対策しようとする姿勢が感じられていたように思う。3月はオリンピックのことにかまけていて、空白の一か月だった。4月は、アベノマスクだの、給付金のゴタゴタだの、緊急事態宣言の全国発令の伴う混乱など、いろいろあったわりには進展せず、とかく迷走した一か月だったように思う。
今日で4月も終わり。5月はどんな最悪の一か月になることだろうか。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)
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