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2018年6月14日 木曜日

6月14日:書架より~『神経症と創造性』

6月14日(木)書架より~『神経症と創造性』(キュビー) 

 

 著者、ローレンス・キュビーはアメリカの精神分析家、精神科医である。僕も名前は耳にしていたけど、著作を読むのは初めてだ。この本は古書店で去年購入したものだった。興味深いテーマだと思いながら、読まず嫌いの状態が続いてしまった。 

 ところが、今日、ふと読み始めると、アラアラ、止まらなくなってしまった。そうして、一気に読み終えてしまったので、内容が十分に自分のものになっていないけど、理解しえた範囲で書いていこうと思う。 

 

 しかし、親切なことに、巻末で本書の結論・要約が載せられているので、それを活用させてもらおう。 

 まず、神経症は創造性を腐らせ、歪曲し、阻止する。狂気は創造性を損ねるということだが、これは一般に信じられている見解とは正反対の見解である。 

 従って、神経症からの回復は創造性を萎縮させない。つまり、神経症が治ると才能が枯れてしまうとか、創造性が失われるなどという心配はないわけだ。 

 上述の恐怖が生まれるのは、人を創造的にさせているのは無意識の力によるものであるという間違った仮説のためである。無意識は人を拘束し、人をして常同的にし、反復的にさせる。そのような常同、反復は創造性ではないわけだ。 

 無意識の影響が支配的な役割を演じているところでは、科学や芸術の創造的過程は神経症的過程と同じものになる。それは、無意識の葛藤を単に象徴的形式に転換するだけである。 

 重要な働きをするのは前意識である。無意識的過程から生じる歪曲や妨害から前意識を解放し、意識過程の日常的限界からも解放することである。無意識は創造性に拍車をかけることがあり、意識は創造物を批判、矯正、評価できるが、創造性は前意識活動の産物である。これは教育が直面する課題でもある。 

 

 上記の事柄が本書の論述の骨格となっている。そこに、多くの実例を挟み、著者のさまざまな見解を導入して、内容豊かな一冊となっている。 

 次の言葉は僕も同感だ。「われわれ自身の病を表現することは、単に特権ではなく、至高の義務であり、召命であって、人間精神が重要な進歩を遂げるためには欠かせないものである。われわれは美術、音楽、文学および科学において心の最も深い葛藤を他者と分ち共に感ずるのでなければならない」(p23) 

 これは芸術などに限らず、一人の臨床事例を読むことにも通じることだと思う。 

 

 さて、僕の唯我独断的読書評は4つ星半だ。創造性に関して新たに学ぶことができたように思う。前意識にはそれ独自の働きがあるということもいい学びだった。ただ、多分、原文がそうなのだろうけど、文章がところどころで読みにくい箇所があり、混乱する場面もあった。それが難点だった。 

 

<テキスト> 

『神経症と創造性』(Neurotic Distortion of the Creative Process 1958)ローレンス・S・キュビー 著  土居健郎 訳 みすず書房(1969) 

 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

投稿者 高槻カウンセリングセンター

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