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2018年9月19日 水曜日

9月19日:常に過飽和で

9月19日(水):常に過飽和で 

 本をあんなに積んで、読むんですか? 

 デスクの上に10冊くらい本を積み上げているのを見て、クライアントさんが言った。クライアントは細かいところを見るものだ。 

 ええ、読むんです、と僕は答える。 

 本を積み上げるのには理由がある。これは前日の食べ放題の話にも通じる。 

 実際、心理学の実験にこういうものがある。動物(ネズミでも鳥でも何でもよい)にお椀一杯の餌を与える。動物はそれを平らげる。それが習慣になった(学習された)動物の前に、今度はお椀二杯の餌を置く。すると動物は、いつもよりたくさん食べる。仮に1.5杯食べたとしよう。では、動物の目の前に5杯の餌を置くと、それぞれ食べ残しが生じるのだけど、2杯分(これも仮の数字だ)の餌を食べた。さらに10杯の餌を置くと、一度に3杯分(この数字正確ではない)の餌を食べた。 

 この実験結果は、要するに、目の前に提示される量が多ければ多いほど、たくさん食べるということだ。過飽和状態になるということである。 

 こんなこと、いちいち実験で実証しなくても、食べ放題やケーキバイキングでの経験を思い出せばすぐに理解できることである。食べ放題となると、通常の三食分くらい食べてしまうこととか、いつもなら1個か2個のケーキで満足する人が、ケーキバイキングでは別腹とばかりに10個も20個も食っちまうってのがあると思う。それと同じことだ。 

 それを応用しているだけのことだ。本を読もうと思ったら、一冊だけ読んでいてはだめなのだ。それだと読む量が限られてくる。たくさん読もうと思えば、目の前にたくさん本がないといけないわけだ。 

 考えてみると、お酒なんかでもそうだ。家で缶ビールを飲んでもそれほどの量は飲めない。でも、バーなんかに行って、目の前にたくさんお酒のボトルが置いてあると、ついついあれもこれもと呑んでしまう。気がつくと、いつもよりも大量に飲んでいたりする。 

 お店なんかでも、商品が充実していると購買意欲が高まる。それも同じである。いろんな商品が目の前にあると、あれもこれもと欲しくなるわけだ。そして、実際に購入してしまったりするわけだ。 

 こういうことを応用すると、例えば、食の細い子供にもっと食べさせたいと思うなら、大盛ご飯を提示するよりも、ちっちゃいおにぎりを10個とか20個とか、目の前においてやるといい。ジャンボとんかつを食べさせるよりも、10種や20種の小鉢でおかずを出してやる方がいいということになる。当然、全部は食べられない。食べ残しが生じる。でも、総量としては増えるはずである。(試してみたけどアカンかったやないかなどと、僕に文句はいわないでね。理論上そうなるという話だ) 

 僕はいろんな本を読みたいと思う。そうすると、目の前に本がたくさんないと読めないわけだ。デスクの上にも、書架にも、実家の自室にも、過剰に本が置いてあるのはそのためである。 

 このHPにもそれを活用している。できるだけたくさん読んでもらおうと思えば、あるいは、できるだけ滞在時間を延ばそうと思えば、ユーザーの目の前にたくさんのコンテンツを提示しなければならない。もっとも、これが成功しているかどうかは不明であるが。 

 ちなみに、この理屈を応用すると、仕事をもっとこなそうと思えば、目の前に仕事を山積にした方がいいということになる。でも、この場合、僕は逃げる。 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

投稿者 高槻カウンセリングセンター

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